和之の職場・・・つまり智香子の母校へ行くと、見知った先生たちがすぐに駆け寄ってきた。
披露宴の招待状を楽しみにしていたと言われて智香子はついつい涙があふれてしまう。
「ご、ごめんなさい。私・・・生徒だったときは先生方に祝福なんてされるわけないと思ってました。
校長先生も同居してることを黙認はしてはもらっていても、血のつながりのない家族で暮らしているってことをいつも咎められているようで、高校生活が早く終わってほしいことばかりを願っていました。」
智香子が高2のときの担任だった岡田貴代先生が智香子を抱きしめた。
「ああ、かわいそうな智香ちゃん。
やっと誰の目も気にせずに、幸せな奥さんとして暮らせるはずだったのにね。
私はあの頃をよく覚えてるわ。顔色が悪くて死にそうな顔をしてたとき、もう心配で心配で。
親戚の家を渡り歩いたあげくに、もう行き場がないって悩むあなたに施設を紹介しなきゃならないのかなってもうつらくてね。
そんなときに、中務先生が自分は家族だってやってきたときには、くどいくらいに中務先生につらいめにあわせないでって言いすぎちゃったのよ。」
「岡田先生・・・。」
「それから、顔色もよくなって笑顔も出るようになったあなたを見て安心して、その後結婚話をきいて、ほんとによかったって思ってたのに・・・。
大学はなんとか卒業できるの?
アルバイトしすぎで体壊さないでね。」

