(和音さんってやっぱり和之さんの弟なのね。スーツを着た立ち姿は似てる。)
「まだ、近所だの兄の職場だのに挨拶に行かなきゃならないんだけど、妻のあんたは眠り姫してサボる気か?」
「あっ、す、すみません。そうですね、私は中務智香子なんですもん。
すぐに準備します!・・・あの・・・部屋から出ててもらえませんか?
着替えとお化粧しますから。」
「わかった。玄関に車をまわしておくから、準備ができたらおりてきてください。お姉さん。」
(ほぅ~ずっとめそめそしてるわけではないんだな。
兄さん・・・しばらくは楽しめそうだよ。)
「や、やめてください。兄嫁だからっていっても、私はずっと年下なのですからそんな風に呼ばないでください。
智香子さんとか智香ちゃんとか智香でいいですから。」
和音はとくに返事はせず、黙って部屋を出ていった。
そして、智香子はあわてて準備をして、和音の車のドアを開けた。
「助手席にすわって。挨拶のあと仕事がつまってるから早く終わらせたい。」
「す、すみません。よろしくお願いします。」

