† 終節



空は晴れ渡り、太陽は人間を恨んでいるように、あるいは試しているかのように、すさまじい光を振り下ろしている。

時おり吹く恵みのような風に、和幸は喉をさらけ出した。

大木市の北区を東西に流れている一級河川、浅葱川の土手を歩いているのだから、風はほどよく冷たい。

心地よさに一瞬、夏の暑さも一興かと思う。

よたよたと歩く自分の横、上野楓が、

「また、なにを考えてるんですか」

と訊ねてきた。

夏休みに入り、本来なら対面する機会もめっきり減るはずだろう彼女は、しかしほぼ毎日、自分と行動をともにしている。

曰く、上司命令であるらしい。教会という組織も、大変だと和幸は思った。

私服の彼女は、大きなひまわりがスカートを飾る、ツーピースを着ている。

露出された肩、腕も細く白いので、普通にしていればもてるはずである。

そんな少女が、ほぼ毎日つきまとう。

健全な男子としては、微妙な心境だった。