「委員長」

と、小名木和幸が語りかける。まるで、教室で声をかけるような安易さだった。

「もうやめたら? カッコわりぃぞ、それ以上は」

「ッ、君に、なにが、わかる……僕は、」

「うぜぇ」

いきなり、言葉のラリアットが桜庭を黙らせた。

威圧ではない。

ただ、『事実』が言葉にされただけ。

しかしその、反論、相づちすら許されない響きが、桜庭を、上野をすら、圧した。

普段と、なんら変わらない口調、なんら変わらない物腰ながら、

「いーか委員長、きっぱり言ってやるから、よーく聞け」

臓腑を震わせる声を、小名木和幸は発す。

「お前の本質はなんだ。傲慢だ。俺が決めた。

その傲慢を、じゃあお前はどうしたい? わかるか? お前はお前をどうしたい?

お前がどうあろうが俺には関係ないけど、見ててイライラすんだよ。お前がいったいなんなのかはわかった。わかったから、じゃあ、そのお前はなにすんだよ? 僕は僕はって言ってばっかじゃねぇか。そんなの、その辺のガキと変わんねぇ」