着地した上野楓が、血糊を払うように、手中の剣を一振りした。

たったそれだけで桜庭に突き立っている剣のすべてが、再運動する。

彼の体を、わざわざさらに貫いて、少女のもとへ。

和幸は思う。あんなもん食らいたくない、と。

串刺しにされ、体に穴を穿たれ、桜庭の気力も尽きたか。

蛇やその体は、もう先ほどまでの回復力を見せなかった。

膝立ちの姿勢から、受け身もなく、前へ倒れていく。どじゃり、と、微妙な水分を含んだグラウンドが、彼を受け止めた。

和幸はスッと、上野の横へ行く。

「桜庭、死ぬのか？」

訊ねると、返答よりも先に、剣が横へ伸ばされた。

それ以上近寄ること、進むことを許可しないという、指示。

言葉は、それから返ってくる。

「殺してはいません。極限まで抑制しただけです。――桜庭紅蓮」

そしてそのまま、矛先はまた、異形の学級委員長へ向けられた。