子よ、だから知るがよい。

世界のうちにある一切はおしなべて運動しているのであって、

あるいは減少し、

あるいは増大している。

運動しているものは生きてもいる。

そして生きているものがことごとく同一の状態にあることは、必然ではない。

すなわち、世界は同時に全体として見る時には不変であるが、

その部分部分はことごとく変化する。

ただし、なにひとつ腐敗したり、消滅するわけではない。

そうした呼び名が人々を混乱させているのである。

命は誕生ではなく、感覚の生起であるし、また変化は死ではなく、忘却である。

このように万物は不死である。

質量も、命も、気息も、霊魂も、叡知もそうであって、あらゆる生き物はこれと結合してできている。



   ~ヘルメス文書~