それであの後は、訳もわからないまま、
いつの間にかお開きになってて、此処ま
で辻宮に送ってもらったんだ……。



顔の火照りを冷ましながら、クローゼッ
トに向かう。



別に、辻宮と出掛けるだけなんだし、洋
服なんて適当で……でも、デートって言
ってたし、ちょっとはお洒落していくも
ん?



うーん、と十分ほど唸っていたら、なん
だか"デート"って言葉に惑わされる自分
が滑稽に思えてきた。



よし!適当でいいよね!



「……とか言いながらちゃっかりお気に
入り着ちゃってるよ……」



あれから、結局選らんでのは、お気に入
りのレースのワンピース。



黒いレースの、膝上ワンピースに、ダイ
ヤ柄タイツ。お化粧は、この前雑誌で見
つけた"大人デートメイク"っていうのを
真似してみた。



あとは……コートを着ればいいよね。



よし、と最後にイヤリングを着けてリビ
ングに行くと、お父さんが居た。