「人魚姫は…一人だったもんね。」
「お姉さんとか出てくるよね?」
「出てくるけど…でも、大事なことを決めるときはいつも一人だった。」
「そっか。…じゃあ人魚姫にも〝誰か〟がいたら〝泡になり損ねた人魚姫〟が本当のお話だったかもしれないね。」
「…泡に…なり損ねた…。」
「うん。そしたら人魚姫が悲恋で終わることもなかったかもしれない。」
「え、だって人魚姫は王子様のことが…。」
〝好きだったのに〟と言おうとした私の言葉は、陸くんの言葉に遮られる。
「好きだった、その時は誰よりも。
だけど…人魚姫の本当の王子が彼じゃ〝なかったら〟って考えたら、泡になることを選んだのはちょっと早急じゃないかな?」
「じゃなかったら…?」
「そう。…まぁ、これは俺にも言えることだけど…というか海央ちゃんに会って、こうしてるうちに少しずつ元気になったきたから言えること…って言えばいいかな。」
「…?」
「今は…まぁ、…未練っていうか嫌いじゃないよ。彼女のことも。多分嫌いになることなんて一生ない。でも…今彼女に対してある想いは…薄れていくかもしれない。薄れないかもしれないけど。」
「薄れる…かもしれない…?」
「今は怪我したばっかりだから痛いけど、でも傷はいつか癒えるだろ?経験上。」
「うん…。治る。」
「忘れないし、嫌いになれない。でも、…同じままじゃない、多分。」
失恋するのは初めてだから、この後自分の想いがどこにいくのかなんて全然分からない。でも…
「…そっか。…じゃあ、泡になり損ねた人魚姫も幸せになれるのかな。」
「なれるでしょう。じゃないと人魚姫がそれこそ泣いちゃうよ。」
陸くんが微笑む。ちょっとだけ泣きそうな顔をして。
だから私はもっと笑う。…陸くんの悲しみを少しでも吹き飛ばせるように。
「お姉さんとか出てくるよね?」
「出てくるけど…でも、大事なことを決めるときはいつも一人だった。」
「そっか。…じゃあ人魚姫にも〝誰か〟がいたら〝泡になり損ねた人魚姫〟が本当のお話だったかもしれないね。」
「…泡に…なり損ねた…。」
「うん。そしたら人魚姫が悲恋で終わることもなかったかもしれない。」
「え、だって人魚姫は王子様のことが…。」
〝好きだったのに〟と言おうとした私の言葉は、陸くんの言葉に遮られる。
「好きだった、その時は誰よりも。
だけど…人魚姫の本当の王子が彼じゃ〝なかったら〟って考えたら、泡になることを選んだのはちょっと早急じゃないかな?」
「じゃなかったら…?」
「そう。…まぁ、これは俺にも言えることだけど…というか海央ちゃんに会って、こうしてるうちに少しずつ元気になったきたから言えること…って言えばいいかな。」
「…?」
「今は…まぁ、…未練っていうか嫌いじゃないよ。彼女のことも。多分嫌いになることなんて一生ない。でも…今彼女に対してある想いは…薄れていくかもしれない。薄れないかもしれないけど。」
「薄れる…かもしれない…?」
「今は怪我したばっかりだから痛いけど、でも傷はいつか癒えるだろ?経験上。」
「うん…。治る。」
「忘れないし、嫌いになれない。でも、…同じままじゃない、多分。」
失恋するのは初めてだから、この後自分の想いがどこにいくのかなんて全然分からない。でも…
「…そっか。…じゃあ、泡になり損ねた人魚姫も幸せになれるのかな。」
「なれるでしょう。じゃないと人魚姫がそれこそ泣いちゃうよ。」
陸くんが微笑む。ちょっとだけ泣きそうな顔をして。
だから私はもっと笑う。…陸くんの悲しみを少しでも吹き飛ばせるように。



