お姫様の作り方

* * *


「ねぇー…雪姫。」

「なに?」

「まーだ付き合ってないの?神谷くんと!」

「ぶはっ!ごほっ…げほ…な、何を言い出すかと思えば…!」


盛大にむせてしまった。飲んでいた野菜ジュースが変なところに入ってしまって気持ちが悪い。


「だってもうかれこれ1ヶ月じゃない。神谷くんと一緒のお昼。」

「別に毎日じゃないし。昨日は一緒に食べたじゃん。」

「でもあたしたちより神谷くんと一緒の方が多いじゃん?」

「それはあんたたちが洸が来るとニヤニヤして行っちゃうからでしょ?」

「だーって…ねぇ?」

「ね?」


またしてもニヤニヤと気味悪い笑みを浮かべてあたしを見る。…言わんとすることは分かる。…けど。


「ま、雪姫の大食いはほぼカミングアウトできて、しかもその評判もいいとなっちゃねぇー…神谷くんってすごいとしか言いようが…。」

「なにその評判って。」

「通行人Aの発言『白雪さんってあんな風に笑うんだ…めちゃめちゃ可愛い。』

「通行人Bの発言『白雪さんの笑顔に落ちた。』

「…なにそれ…。」

「まだあるよー?通行人Cは『白雪さんってめっちゃ美味しそうに食べるし、そこがなんかいつもと違う…これがギャップ萌え…?』

「最後のは何なの?」

「だから雪姫に対する評価だってば!」

「いや、それはまぁいいとしてギャップ萌えって何よ。」

「事実でしょ事実。まぁ雪姫に本格的に落ちる男子が急増してるのは間違いないかな。」

「告白量増えたでしょー?」

「いや、別に。っていうか前から告白とかそんなされてないし、現状維持だけど。」

「あーでもそっか。好きになった人は多いけど、神谷くんがいるならってことかなー…。」


二人がふんふんと頷いた。そして杏里がその後を引き取って話し始める。