お姫様の作り方

「なるほど。…では、やはり僕の前でも食べるのは嫌ですか?」

「…そこは…よく分かんないけど、でも…今、ちょっとだけ…安心してる。」

「安心、ですか?」

「あんな風にバクバククッキー食べちゃっても洸は…何も言わなかったでしょ?」

「可愛いとは言いました。」

「そこは掘り返さなくていいの!」

「あ、そうですか…すみません。」

「べ、別に謝らなくてもいいけど!でも、あそこで洸が『そんなに食べるんだ…』とか言ってたら、あたしは今、こんな風に洸に話そうとは…思わなかったと思う。」

「…そうですか。でも僕は何か意図してあの場で可愛いと言ったわけではないんですけどね。」

「分かってるよ。洸は多分、そういう人だから。」


…だから、今、安心しているんだろう。
認める。そこは。あたしは今、安心している。


可愛いという言葉に対して好きも嫌いも何もなかった。いや、むしろ嫌いだったのかもしれない。可愛いという言葉を重ねられる自分は、人よりもより多く食べることを肯定されない人間になっていくから。
でも、洸は違う。…多分洸は…違う。


「雪姫さん、僕、とても良いことを思いつきました!」

「なに…?」

「僕と一緒に食べましょう。」

「は?」

「僕も比較的よく食べる方ですし、やっぱり一人よりも二人で食べた方が楽しいと思うんです。」

「あ、あたし別にお昼は普通に友達と同じくらいの量を…。」

「それは女性のご友人でしょう?最近の女性は本当に量を食べませんよね。あのくらいの量で雪姫さんが満足できるとは…失礼ながら思えないのですが。」

「ま、まぁ合ってるけど…ほんと失礼だな。」

「すみません。ですが、僕の量ならそこそこ多いですし、目の錯覚といいますか…とにかく自然と『たくさん食べる自分』を出していければ良いと考えているんですが…いかがでしょうか?」