お姫様の作り方

「可愛いって思ったから可愛いって言ったんですよ。」

「普通そこでたくさん食べるって方に目がいくものなんだけど!」

「どうしてですか?たくさん食べるっていいことでしょう?」

「そうじゃない!」


思わずきつい声が出た。咄嗟にそこで我に返って、心を落ち着かせる。…感情的になるのは良くない。それに、洸にこんな風にきつい声を出す必要だってないはずだ。悪いことをした。


なんだかバツが悪くて顔を上げられないでいると、ふっと洸の右手があたしの左頬に触れた。そのままゆっくりと顔を上げるように、洸の手が導く。


「…立ち話もなんですね。ちょっと今更な感じはありますが…。近くの公園に寄りましょうか。ひとまずは座りましょう。」

「…怒んないの?」

「どうしてですか?」

「だって言い方、きつかったし。」

「雪姫さんにひっかかるものがあったのでしょう?僕はまだ、雪姫さんのことを多分何も知らない。でも知りたいと思っている。その気持ちに変わりはありません。ですから、そのひっかかりを話してくださるのならば、僕には怒る理由がありません。」


洸の手が頬から離れ、今度は手に触れた。優しく握られた手から伝わる体温が子どもみたいに高い。


「行きましょう。すぐ近くに公園があったはずなんですが…あ、そこを曲がったところですよね。」

「…うん。」


怒ってくれたら、謝れた。
いきなりあんな大声出してごめん、って。軽く一言言えた。
でも洸はそんな軽く事を流してしまうつもりがない。それだけは分かる。


〝分かろう〟としてくれている。
あたしそのものを、あたしとして。


「…ありがと。」

「え?」

「なんでもない。」

「そうですか。」


洸はそれ以上何も言わずに、あたしの手を引いた。