お姫様の作り方

「っ…!」


そう言った瞬間に、洸の顔が赤く染まる。
…何か、恥ずかしいことでも言ったのだろうか、あたし。


「な、なに?なんでそんな顔になるの…?」

「いや…だって…きっと笑顔が見れるだろうとは思っていましたが…まさかここまでとは…。」


そう言って右腕で顔を隠す洸。
…なんだかちょっと面白い。いつもはどこか余裕を感じさせる彼が、よく分からないけれど少し慌てている。こんなところ、なかなか見れない。


「…ごめん、全然意味が…。」

「い、いいです、雪姫さんは分からなくて大丈夫なことです。」

「だって…そんな顔されたら少し気になるんだけど。」


ちょっとだけ食い下がる。だって特別に何かをした覚えはない。むしろ本来ならばクッキーをペロリとたいらげてしまうあたしを見て引いてもおかしくないような状況だ。量的に見て、そんなに少なかったわけではないのだから。


「…引いたの?」

「え?」

「あたしがいっぱい食べたから。」

「え、そ、そんなこと、あるわけないじゃないですか!どうしてそれで引くんですか?意味が分かりませんよ。」


さらに慌てて洸がそう言った。さっきまで顔を赤くしていたくせに、今はほんのりと目尻が下がって悲しそうだ。…表情がコロコロ変わるのは絶対にあたしじゃなくて洸の方だ。


「…そんなことで引いたりしません。むしろ僕が直視できなかったのは…あまりに可愛かったからです。」

「なっ…何言っちゃってんの?」


今度はあたしが赤くなる番だった。…そうだった、こいつはこういう人間なのだ。いきなり『可愛い』なんて言葉をさらりと言ってしまうような、…危険な奴。