…学校を出るまでピエロのようだった。
学年を問わず様々な人に見られていたことだけは分かる。あまりにも色々なことを言われ過ぎて、具体的にどんなことを言われていたかが思い出せない。
「まぁ、ここまで来れば先程のような状況からは脱することができると思います。」
「…いい見世物になってた。」
「…そうですね。でも、振りほどかないでいてくれたこと、僕は嬉しかったですよ。」
真っすぐに向けられる笑顔にそろそろ免疫が出てきてもいい頃のはずなのに、どうしてなのだろう?…向けられれば向けられるほどなんだかこそばゆくて、見ているだけで心拍数が上がってしまう。
ゆっくりと腕が離され、洸が自分のカバンをごそごそとあさった。
取り出されたのは小さなプラスチックのケース。
「なに、それ?」
「アップルシナモンクッキーです。」
パカっと開いたケースから、ふわっと甘いリンゴの香りが漂ってきた。その香りのせいであんまり減っていなかったお腹がいきなり減り始めた。
「どうぞ。」
「…い、いただきます。」
甘い香りの誘惑にあっさり負けたあたしはクッキーを一枚、口に放り込んだ。
…あぁ、これは…。
「おいしい…。」
「良かったです。全部食べちゃっても大丈夫ですよ?」
「え、いいの?」
「もちろんです。さぁ、どうぞ。」
道端だというのに、一口、また一口と手も口も止まらない。乱暴に食べているわけでもない。一つ一つを確かめながら、味わいながらお腹も心も満たされる。
「…おいしい!」
ケースの中が空になった時、あたしは思いっきり顔を上げた。
学年を問わず様々な人に見られていたことだけは分かる。あまりにも色々なことを言われ過ぎて、具体的にどんなことを言われていたかが思い出せない。
「まぁ、ここまで来れば先程のような状況からは脱することができると思います。」
「…いい見世物になってた。」
「…そうですね。でも、振りほどかないでいてくれたこと、僕は嬉しかったですよ。」
真っすぐに向けられる笑顔にそろそろ免疫が出てきてもいい頃のはずなのに、どうしてなのだろう?…向けられれば向けられるほどなんだかこそばゆくて、見ているだけで心拍数が上がってしまう。
ゆっくりと腕が離され、洸が自分のカバンをごそごそとあさった。
取り出されたのは小さなプラスチックのケース。
「なに、それ?」
「アップルシナモンクッキーです。」
パカっと開いたケースから、ふわっと甘いリンゴの香りが漂ってきた。その香りのせいであんまり減っていなかったお腹がいきなり減り始めた。
「どうぞ。」
「…い、いただきます。」
甘い香りの誘惑にあっさり負けたあたしはクッキーを一枚、口に放り込んだ。
…あぁ、これは…。
「おいしい…。」
「良かったです。全部食べちゃっても大丈夫ですよ?」
「え、いいの?」
「もちろんです。さぁ、どうぞ。」
道端だというのに、一口、また一口と手も口も止まらない。乱暴に食べているわけでもない。一つ一つを確かめながら、味わいながらお腹も心も満たされる。
「…おいしい!」
ケースの中が空になった時、あたしは思いっきり顔を上げた。



