お姫様の作り方

* * *


放課後になるのが久しぶりに遅く感じた、今日。


「雪姫ー!今日カラオケ行かない?」

「行かない。」

「えぇー雪姫も行くって言っちゃった!」

「なんであたしの返事を待たずに勝手にそんなこと決めちゃうの!」

「だって雪姫いつも暇じゃん。」

「今日は暇じゃない!」

「え、先約あり?」

「…あ、あり。」

「誰!?」

「じゃーね!」

「あ、誤魔化したー!」


友人たちの声を振り切って、あたしは廊下を走った。本当は走ってはいけないことくらい分かっている。でも、やたらに急いた、気持ちが。



向かう先は、一つ。





滅多に来ない図書室のドアを開けると、一番目立つオープンスペースに、目立つ容姿の彼はいなかった。
…まだ、なのだろうか。そうだとするとこんなに走って来た自分がバカみたいだ。


そう思って少し図書室内を探すつもりで、奥へと歩む。
どの棚の前にもその姿はない。そして一番奥の洋書の棚を覗き見た。


開かれた本に目を通すその横顔は、確かに神谷洸だった。
読んでいる本は…


「白雪姫…だし…。」

「雪姫さんを待つならこれがベストでしょう?」


そう言って微笑み、パタンと本を閉じ、元の場所に戻す。


「来て下さってありがとうございます。お待ちしていました。」