お姫様の作り方

しばらくして涙も止まり、そのタイミングを図ったかのように優馬くんが腕の力を解いた。


「泣き止んだな。」

「ご、めん…なさい…。制服ちょっと汚しちゃった…。」

「いいよこんなのは。とりあえず泣き止んでくれて良かった。あと、…間に合って良かった。」

「あ、そ、そうだ!どうしてこんなところに?」


あまりにも優馬くんが来たタイミングは良すぎた。
…まるで、物語の中の王子様みたいに。


「いや、まじでタイミング良すぎだなとは自分でも思ってる。
でもお前が叫ぶ声が廊下で聞こえて、んで見下ろしてみたらなんかよく俺の周りにいる女2人が結構きつい顔していたから…なんかあったかって思って来たら、まぁお前閉じ込められてたっつー…。」


少し苦しそうな顔をして、優馬くんはそう言った。


「…なんか、こういうこと言うと自惚れてるうぜぇ奴だと思われるかもしんねぇけど、…でも、多分俺のせいだから、悪い。怖い思いも嫌な思いもさせた。」


あたしは咄嗟に首を横に振った。気付けば優馬くんの手に自分の手を重ねていた。


「違うよ。優馬くんに怖い思いも嫌な思いもさせられてない。
…嬉しかった。こうして会えたことも、助けにきてくれたことも。
泣き止むまで待ってくれたことも、全部。」


大きな手にドキドキして、優しく撫でてくれることにどうしていいか分からなくて。
でも、全部全部嬉しかったから。


「ありがとう。来てくれて。」


ちょっとだけ上ずる声をなんとか抑えて、あたしはそう言った。