お姫様の作り方

「ゆ…ま…くん?」


つっかえつっかえ言葉を発したけれど、名前さえろくに呼べない。
…そのくらい、ドキドキとうるさい心臓。男の子に抱きしめられるのなんて生まれて初めてなんだから仕方がない。…どうしたらいいのか、やっぱり全然分からない。


「怖かったんだろ、お前。だから知ってる奴見て安心したんだよ。」

「え…。」

「大丈夫。とりあえず、今お前が一人で閉じ込められることはない。俺がいる。」


後頭部に回った優馬くんの思ったよりも大きな手が、そのままゆっくりとあたしの頭を撫でてくれる。その心地良いリズムに心がホカホカして、ドキドキするけれど、どこかで落ち着きもする。…不安が少しずつ消えていく、そんな気持ちになる。だからポロリと本音が零れる。


「っ…こわ…かったよぉ…。」

「うん。」

「寒いしっ…ひ、一人だし…ガラスの靴もなくって…。」

「うん。」

「優馬くんに会えるかもって…思ってたのに…全然会えなくてっ…。」

「今会えたじゃねーか。」

「な、長かったもん!会えるまで長かったっ…!」


時間にしたらたった24時間程度。でも、今日はものすごく長かった。色んな事がありすぎて、気持ちがパンクする。


「…とりあえず落ち着けって。今は大丈夫。俺いるって。」

「うぅ…分かってるもん…。でももうちょっと待って。」

「待つ待つ。だから安心して泣け。胸、貸しといてやる。」

「…ありがとう。」


トクントクンと聞こえる優馬くんの心臓の音があたしに落ち着きを与えてくれる。
その鼓動に耳を傾けながら、あたしはゆっくりと気持ちを落ち着かせていった。