お姫様の作り方

「っ…灰吹…くん!」


女の子たちの声が途端に変わった。今にも投げつけようとしていた腕がゆっくりと下りていく。
その腕を、優馬くんはきつく掴んだ。


「それ、返して。」

「……。」

「聞こえてないとか、そーゆーくだんねぇ話なら聞く気ねぇから。」

「えっとあの…灰吹…くん…?」


なんだか女の子たちが混乱してるみたいだ。
…ってそっか!優馬くんの口がちょっと悪いから!


「返せっつってんの、通じねーの?」


まだ表情は見えない。でも、声はあたしが今まで聞いたことのないくらい冷たいものだということは分かる。多分、この子たちも初めて聞く冷たい声なんだろう。


優馬くんの言葉に、その子がゆっくりとガラスの靴を優馬くんに返す。
優馬くんはガラスの靴をぎゅっと握った。


「で、なんで靴が2個も落ちてるわけ?」

「そっ…それはあたしが投げた…からっ…!」

「投げた?」


優馬くんがあたしの方を見つめる。その顔は少し険しいけど、でも声は少し戻っている。


「ど、どうしても返してほしくって、足止めしたくて投げたの!」

「ぷっ…あはははは!お前形振り構ってねぇなまじで。そういうとこ、面白ぇ。」

「っ…面白いって!」


笑い事なんかじゃない!あたしは必死だったんだから!


「…つーわけで、俺とあいつ、感動の…でもねぇけど、再会だから邪魔しねーでくんね?」

「っ…。」


女の子たちは何も言わずにその場を去っていった。