お姫様の作り方

「あ、で。これ、お前のなんだろ?」

「はい。それはあたしので、返してもらいたいです…。」

「はい。」


あたしの手にそっと乗せられたガラスの靴。本物ではもちろんないし、大きさだって掌の半分もない。それでもずっと、大事にしてきたもの。


「ありがとう…!ありがとうございます!」

「…だから、ありがとうでいいっつの。敬語とかかゆい。タメなんだから。」

「えっと、ご、ごめんなさい。ありがとう。」

「どーいたしまして。」


…な、なんなんだろう。黙っていれば(こう言っては失礼だけど)本当に王子様みたいな顔をしているのに、口を開けば普通の同級生…みたいな…。


「なに?」

「い、いやなんでも!なんでもないです!…あ、じゃなかった。なんでもない!」

「なんでもないやつはそんなに焦んないだろ。」


…す、鋭い。なんでもなくは、ない。くだらないことだけど、一応考えていたことはある。


「何?じろじろ見て何考えてたわけ?」

「じろじろ見てなんか…。」

「ないとは言わせねー。」

「うっ…。」


…実際見てたもんね。見てましたもんね。じろじろではないけど見てはいたもんね。


「…何言っても怒んない?」

「そこまで心広くはない。」

「じゃあ言わない。」

「怒られるようなことなのかよ!」

「実際失礼なこと思ってたから…。」

「じゃあ怒らないからとりあえず言ってみろ。」


…このままじゃ埒があかなそうだと判断して、あたしは口を開いた。