お姫様の作り方

* * *

結局教室に着いたのはギリギリで、数学のプリントに手をつけることができなかった。
…でも、そんなことよりも…。


「ねぇ!」

「…何?」

「ない!」

「何が?」

「ガラスの靴!」

「…いつからシンデレラになったのよ。」

「そーじゃなくてっ!」


冷ややかな紫音の視線が刺さる。でも、それにめげている場合ではない。これはあたしにとって一大事なのだから。


「ガラスの靴って…あ、あのカバンについてたやつ?」

「そう!今ちゃんとカバン見たらなくなってて…。」

「朝じゃないの?カバンぶちまけた時にそのまま。」

「えー!じゃあ探しに行かないと!」

「はい無理ー!牧島来たよ。」

「えっ?」


ドアを見つめると数学の牧島先生。バッチリ目が合った。


「んー?なんで立ってるんだ?会田。」

「へっ?な、なんでもありませんっ!」

「そうか。じゃあ宿題にしていたプリント、まず回収するぞ。」


…プリント…はファイルの中…ってない!え!?なんでないの!?昨日夜、分かんないなりにちゃんとやってって…
あ!入れたのこのファイルにじゃない…。


「ま、牧島先生…。」

「どうした?」

「あの、プリント…やったんですけど、あの、えっと…すみません、忘れました。」

「またかー…ほんっと会田は真面目なのにそういうところちょっと抜けてるよな。今日で何回目?」

「…えっと、数えてません。数えるとがっかりするので。」

「先生もがっかりだー。」

「す、すみません。」

「プリント追加で1枚と、玄関掃除、どっちがいい?」

「…げ、玄関掃除で!」

「じゃあ放課後、一度僕のところに来てね。」

「は、はい…。」


…はぁ。でも数学のプリントもう1枚よりは掃除の方が全然マシだ。それに玄関掃除しながら探せばいいんだし。