「あーやっぱいい匂いするー。」


くんくんと首筋を嗅がれてはくすぐったい。


「っ…くすぐったい!」

「…はー茉莉花落ち着くわ。」

「わ、私は落ち着かない!」

「あ、いやまぁ本当は落ち着かねぇけど。」

「ど、どっち!?」

「落ち着いてなんかいられるか。好きな女の前で。」

「へっ…?」


あまりに間抜けな声が出たのは、あまりに突然の〝好きな女〟という言葉に上手く対応できなかったせいだ。


「本気で魔法の絨毯手に入れて毎日迎えに行きたいレベルで好き。」

「…それってどのレベルなの?」


そう問い掛けると首筋に落ちていた由貴の頭が耳元に近付き、そっと囁く。



「毎日キスして…抱きしめたい。」

「っ…な、何言って…!」



私の動揺を楽しむかのように笑う由貴の胸を叩く。でもそんなのも気にせずに由貴はやっぱり笑ったままだ。



「何って…だから本心だってば、〝茉莉花お嬢様〟?」

「…じゃっ、じゃあ、そんなこと言うなら迎えに来てよね。
バルコニーのある部屋で…待ってるから。」


*fin*