お姫様の作り方

「べっ…別にそういうわけじゃ…。」

「んだよー素直じゃねーな。俺は結構会いたかったんだけど。」

「え…?」


ストレートに響く由貴の言葉。真っすぐで偽りのない言葉だと知っているからこそ、私は条件反射のように信じてしまう。


「…会いたかったって。これでも結構心配してたんだぞ、お前のこと。」

「…心配?」

「まぁそんな大げさなもんでもねぇけど、でも苦しそうだとはやっぱり思ったからな。
赤の他人である俺にベラベラ喋っちまうくらいにはキツいんじゃねーかって、バカな頭の割に考えてたわけ。
のくせお前、全然来ないし。あの後も結構ここで歌ってたんだぞ、俺。」

「そうなの?」

「いつもは場所変えて歌うけど、でもなんか…場所変えたら余計会えないっつーかすれ違うような気がしてな。
という俺の気遣いに反してお前来ねぇし!」

「だっ…だって…猿田さんの信用を失って監視が厳しくなって…それで今日、遠回しに縁談の話までされて…。」

「エンダン…?ちょっと待て、俺の頭で変換するから。」


そう言って頭を抱え始める由貴。縁談って言葉はそんなに難しい言葉ではない。


「人と人との縁の〝縁〟に相談の〝談〟で縁談。お父様にとって都合のよい、私の将来の相手候補に会うのよ、今度のパーティで。」

「は?な、なんだそれ…将来の相手って何?お前もう結婚すんのか?」

「…もうできない年じゃないもの。」


今年、16になった。結婚できない年じゃない。
だから遠くない未来にこういう話が舞い込んでくるんじゃないかって思っていた。でも、思っていたよりも心の準備ができていなかっただけ。