『あ、奪還じゃねーか、この場合。強奪?』
「どちらもあまり良い響きじゃないわね。」
由貴の声が私の涙をいつの間にか止めてくれていた。苦しい想いも由貴の声が優しく受け止めてくれる。
『つーか魔法の絨毯だっけ?魔法のランプから絨毯出てくるんだっけ?』
「違う違う。魔法の絨毯で…王子様が迎えに来るの。自由に憧れたお姫様に〝自由〟を感じさせるために。」
『ふーん…。ま、この時期絨毯の上に乗って飛んだりなんかしたらくそ寒いけどな。』
「現実的ね。」
『現実的なのはお前の方だろ?って泣き止んだみたいだな。…落ち着いたか?』
「…少し。…なんか不思議ね、由貴の声って。」
『俺の声が何?』
「…安心する。」
『え…?』
電話の向こう側の声が戸惑っている。口にした私だって今、戸惑っている。
「…ごめん、忘れて。別に大した意味はない。」
『大した意味ねーのかよ。ちょっと嬉しかったんだけど、俺。』
「え!?」
『あ?だって安心する声って良くね?それに、俺の〝声〟に安心して泣き止んでくれたんなら、お前が俺に電話してきた意味があるだろ?』
明るく突き抜ける声が、やっぱり私にとっては安心する。…安心というよりは憧れに近い、かもしれない。
『だから嬉しい。こんな俺でも誰かの役に立つことが。俺の歌を聴きたいって言ってくれる奴がいることも…多分お前が思っているよりはずっと嬉しい。』
…顔が見たい。今、どんな顔をして言葉を紡いでいるのだろう?
会ってちゃんと表情を見たい。
「…やっぱり、生で声が聴きたいし…会いたい。」
『素直になったり意地はったり…忙しいやつだなお前。
…でも俺もなんか会いたい。今、会いたい。』
〝今、会いたい〟
顔も見えない。声しか聞こえない。そんな不確かな空気の中で、たった一つの共通の想い。
部屋の時計が8時半を知らせる。
「あの場所に行くから…待ってて。」
『おう。』
電話を切ったのは私だった。
「どちらもあまり良い響きじゃないわね。」
由貴の声が私の涙をいつの間にか止めてくれていた。苦しい想いも由貴の声が優しく受け止めてくれる。
『つーか魔法の絨毯だっけ?魔法のランプから絨毯出てくるんだっけ?』
「違う違う。魔法の絨毯で…王子様が迎えに来るの。自由に憧れたお姫様に〝自由〟を感じさせるために。」
『ふーん…。ま、この時期絨毯の上に乗って飛んだりなんかしたらくそ寒いけどな。』
「現実的ね。」
『現実的なのはお前の方だろ?って泣き止んだみたいだな。…落ち着いたか?』
「…少し。…なんか不思議ね、由貴の声って。」
『俺の声が何?』
「…安心する。」
『え…?』
電話の向こう側の声が戸惑っている。口にした私だって今、戸惑っている。
「…ごめん、忘れて。別に大した意味はない。」
『大した意味ねーのかよ。ちょっと嬉しかったんだけど、俺。』
「え!?」
『あ?だって安心する声って良くね?それに、俺の〝声〟に安心して泣き止んでくれたんなら、お前が俺に電話してきた意味があるだろ?』
明るく突き抜ける声が、やっぱり私にとっては安心する。…安心というよりは憧れに近い、かもしれない。
『だから嬉しい。こんな俺でも誰かの役に立つことが。俺の歌を聴きたいって言ってくれる奴がいることも…多分お前が思っているよりはずっと嬉しい。』
…顔が見たい。今、どんな顔をして言葉を紡いでいるのだろう?
会ってちゃんと表情を見たい。
「…やっぱり、生で声が聴きたいし…会いたい。」
『素直になったり意地はったり…忙しいやつだなお前。
…でも俺もなんか会いたい。今、会いたい。』
〝今、会いたい〟
顔も見えない。声しか聞こえない。そんな不確かな空気の中で、たった一つの共通の想い。
部屋の時計が8時半を知らせる。
「あの場所に行くから…待ってて。」
『おう。』
電話を切ったのは私だった。



