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世の中そんなに甘くない。


みんながみんな祝福してくれるはずもなく。


”なにやってんだ”


”ステージ私物化しやがって”


”リア充死ね!”


とか罵倒を浴びせられながら、


千葉の手を掴んで走った。


後ろではぼくのいないステージを

メンバー二人と前田さんが再開した。


おかげで、みんなの意識がまたステージへ戻って

ぼくらは喧騒の中を抜け出した。



会場の外に出ると、

ほっと息を付いた。


「た…たかちゃん…はぁはぁ…まって」


「あ、ごめん。」


荒い息を吐きながら、でも笑っているように見える。



「…はぁ、何やってんのよ…大丈夫なの?こんなことして。」


「どうかな?」


「ど、どうかなって?」


「大丈夫じゃない?前田さんいるし、

 レディバグのファンはロリ系なヲタさん多いし、

 俺無しでも問題ないんじゃない?」


「いたわよ、たかちゃんのファンだって

 握手したいとかサインしたいとか言ってたもの…」


「でも、あれはホントの俺っじゃないし、

 どっちにしろそんなんしないし、

 それより…

 来てて良かったあ。


 あれで千葉いなっかったら俺立場ないし。」



呼吸が落ち着いた千葉は、

急にうつむいて、


「もぉ…」


って小さく言うと、

ギュッとおれに抱きついた。



そして

「あたしも好きだよ。」


そう耳元で囁く。