気がついたとき、目に入ったのは真っ白な天井と

見慣れない室内の中に、

泣きはらしたような千葉の顔があった。


手を伸ばそうとしたら何かにつながれていて、手首に痛みが走った。


「いてっ」

点滴に繋がれてた針が、神経を刺激した。


「たかちゃん!」


「千葉?

 あっと…俺どうしたんだ?

 なんでここにいるの?」


「病院だよ!救急車で運ばれたんだよ。盲腸だって。」


「も、盲腸…そうかあ、それで痛かったんだ。」


「痛かったの?

 もしかしてずっと痛かったの?

 それで顔色悪かったの?」


「ん…多分。」


「もう!倒れるまで我慢しちゃダメじゃない!」


「うん、ごめん…」


「死んじゃうかと思って、怖かったんだから

 バカバカタカちゃんのバカ!」


ポカポカと俺の枕元を叩く。


「あ〜、ごめんごめんって。」

唯一自由になる右手で、千葉に触れようとすると


「あ、たかちゃんのママはお医者さんと話ししてるみたい。」

そう言ってするりと身を交わした。


表情をクルクル変わる千葉の顔が妙に大人で、

眩しく見えた。


「でも、千葉なんで病院いるの?」

はたっと気がついた。

だって確か別れの挨拶の途中だった。