「ちょーっと、美鈴!!」


最近、朝を迎えるのが憂鬱になってきた。

学校に来るたびに千佳のデカイ声を聞くのが憂鬱でたまらない。


「あー…おはよ」


とりあえずそう言うものの千佳はいつもの様に無視してあたしの腕を引っ張って、廊下に連れ出す。

最近はほぼ毎日の日課状態。


「ちょっと美鈴!!アンタまだ付き合ってんの?」


気づけば一か月経ってた。

最近ではこれしか言う事がないのかと思うくらいに千佳の口癖になっている。


「うーん…」


だって、あと一カ月じゃん。

もうちょっと待ってよ。って言いたいのは確かだけど、言えない。


「あのさ、美鈴はさ、無関心にも程がありすぎるけど学校中では超言われてんだよ?知ってるの?」

「うーん…」

「よくさ、黒沢と一緒にいるとか聞くし、…んでもって、あの黒沢他校の奴らと喧嘩してたって言うじゃん」

「へー…」

「へー…って何よ!」


だって、そんなの知らないし関係ないもん。


「でも、あたしには被害こないから心配しなくていいよ」


そんなの眼中なし、興味なし、あたしは関係ない。


「そー言う問題じゃないでしょ!!分ってる!?あんた黒沢と付き合ってっからイメージ悪くなんだよ。美鈴になんて興味ある訳ないじゃん!!」

「……」

「だいたい黒沢はギャル好きって言うじゃん!!」

「……」

「美鈴とは凄くかけ離れすぎ!もしかして、アンタ黒沢好みのギャルになろうとでも思ってんじゃないでしょーね!」


もう、頭痛い。

この千佳の弾けた声。


正直、朝一番に聞くのは辛い。