“俺の彼女役宜しく”


そう言われて1週間。

何だ、案外楽勝じゃんって思ってた。


別に何も起こらないし、このまま過ぎてれば2カ月なんてあっと言う間に過ぎ去って行く。って、思ってた。


だけど。


彼から別れを告げられてもうすぐ2週間は過ぎ去ろうとしていた。

だから何か今までの気持ちがいっきに吹っ飛んだように身体もだらしなくなってた。


学校には遅刻するし、何もかもが面倒って思うようになってた。


いつも通りに遅刻してしまったあたしは、見えないようにと正門からじゃなく裏の体育館側から校舎に入ろうと思い、フェンスの柵を潜り足を進ませた時だった。

秘かに聞こえる笑い声。


聞くからには男の声。


「…最悪」


思わず呟いたため息とともに、道を変えて行こうと思った矢先だった。

あたしの進めている足がピタっと止まる。


止まったのはどこの道から行こうって考えて止まったんじゃない。


聞こえて来た誰かが言う“颯”と言う名前にだった。

だから思わず耳を潜めてしまった。


屯ってるのは2年。


しかも、あの黒沢颯だ。