影時はもう一度、水面に手を翳した。 「おやおや、こうなるのですか…」 水面に映る光景に彼の口角が持ち上がる。 彼が見ていた水面には幸せそうに笑う彼女と彼女が愛する彼の姿。 そして、産まれたばかりの赤ん坊が映っていた。 「これからが楽しみですね、妃絽――…」 風で水面が揺らされ、波紋が現れる。 まるで、彼女達が水の面に必要のない影の存在ではないというかのようにその姿は掻き消されてゆく。 ゆらり、ゆらりと静かに――。 -Fin-