妃絽は目をつぶると、幕末での生活と今の生活を頭に思い浮かべた。



どちらも賑やかで笑いが絶えず、楽しい日々を送っていた。



正直言って、どちらかを選べなんて無理だ。



しかし、此処は決断しなくてはいけない。



考えに耽る妃絽の頭にふと彼の姿が浮かんだ。



その瞬間、妃絽は身体を起こした。



「…決めた」



彼女にもう迷いはない。



何があろうと、この想いは変わらない。



この日、ようやく妃絽は自分の生きるべき場所を見つけた――。