髪から水滴が落ちる。 視線の先には浅い池に見慣れた景色、そして――。 「妃絽!夏樹!」 繭と施設の子供達の顔がある。 妃絽はすぐに悟った。 現代に帰って来たのだ。 ――と。 「待ってて、今タオルを…っ!」 繭は零れそうになる涙を拭うと、数人の子供達と中に戻って行った。 「とりあえず、出よう?妃絽」 夏樹は立ち上がると池の中に座っている妃絽の手を掴み、彼女を池から出そうとした。 しかし、妃絽は出ようとはしない。