此処は京の都だ。 寺院も多い為、街を修行僧が歩いているのは大して珍しいモノではなかった。 妃絽は気に止めることなく、僧侶の横を通り過ぎようとしたが――。 「君は未来に帰りたいですか?――望月妃絽さん」 僧侶はすれ違い際にそう言った。 未来から来たことは新選組のごく一部の幹部しか知らない。 なのに、何故初対面の僧侶がそれを知っているのか? 妃絽は足を止めると、身構えた。