その時にはきっとあたしは迷わず選ぶことが
出来るはずだ。
次に春が来る時までには心に鍵を掛けて、
何もかも心に焼き付けて忘れない。
結局、オーロラの本を読破して感傷にひたる。
このことを考えると暗くなってしまう。
何か違うことを考えましょう。
例えば、今日の夕飯ね。
兄ちゃんは何時頃に帰って来るのだろうか?
美味しいご飯を作ってあげよう。
う~ん、ハンバーグでも作ろうかな。
そんな日々が続いた。
一週間という時間はあっという間だった。
夏休みの終わりのその日にそれは起こった。
その日も兄ちゃんは藤永さんの迎えで
出勤をしてお昼には弁当を届けた。
図書館で『虹の秘密』という本を読破して
スーパーはなまるで夕飯の材料を買って
帰る帰り道のこと。
学校近くの歩道橋を通るという普段しない
帰路に立ったには理由があった。
歩道橋の前を通って素通りで家の方向に
目掛けて帰ろうとしていたのだ。
でも、後ろ髪を引かれる思いで歩道橋
の方に視線が行ってしまう。
さっきから気になるのだ。
何故気になるって?
そりゃもう、この世のものとは思えない美形
さんが歩道橋の上で考えて込みながら薄幸オーラ
全開で車を見つめているのだ。
気にならない方が可笑しい。
どうするべきかと20分は考えた。
それでも、彼の意志はは強いみたいだ。
こんなに若いのにきっと何か不幸なことが
起こったので傷心中なのかもしれないわ。
歩道橋に上がり3往復してみた。
気付くだろうかと思って3往復してみたが、
一向に気付いて貰えなくてむしろ周りの人に
変な目で見られた。

