Hurly-Burly3 【完】


その時にはきっとあたしは迷わず選ぶことが

出来るはずだ。

次に春が来る時までには心に鍵を掛けて、

何もかも心に焼き付けて忘れない。

結局、オーロラの本を読破して感傷にひたる。

このことを考えると暗くなってしまう。

何か違うことを考えましょう。

例えば、今日の夕飯ね。

兄ちゃんは何時頃に帰って来るのだろうか?

美味しいご飯を作ってあげよう。

う~ん、ハンバーグでも作ろうかな。

そんな日々が続いた。

一週間という時間はあっという間だった。

夏休みの終わりのその日にそれは起こった。

その日も兄ちゃんは藤永さんの迎えで

出勤をしてお昼には弁当を届けた。

図書館で『虹の秘密』という本を読破して

スーパーはなまるで夕飯の材料を買って

帰る帰り道のこと。

学校近くの歩道橋を通るという普段しない

帰路に立ったには理由があった。

歩道橋の前を通って素通りで家の方向に

目掛けて帰ろうとしていたのだ。

でも、後ろ髪を引かれる思いで歩道橋

の方に視線が行ってしまう。

さっきから気になるのだ。

何故気になるって?

そりゃもう、この世のものとは思えない美形

さんが歩道橋の上で考えて込みながら薄幸オーラ

全開で車を見つめているのだ。

気にならない方が可笑しい。

どうするべきかと20分は考えた。

それでも、彼の意志はは強いみたいだ。

こんなに若いのにきっと何か不幸なことが

起こったので傷心中なのかもしれないわ。

歩道橋に上がり3往復してみた。

気付くだろうかと思って3往復してみたが、

一向に気付いて貰えなくてむしろ周りの人に

変な目で見られた。