明らかに年上の人を呼び捨てしちゃうの!?
もう手に汗を握るほどの冷や冷やっぷりに
顔が死にそうだ。
「藤永さんですか?透真が世話になります。」
真君っ!!
やっぱりお主はすごいよ。
兄ちゃんの親友がしっかりした人で良かった。
「あ~、君のことも透真君から聞いてるよ。
よく話に出てくるのは君たち2人だからね。」
チワワの頭を撫でる藤永さん。
チワワが気持ちよさそうにウトウトする。
も、もしかしたら、藤永さんはスペシャリスト
なのかもしれない!!
チワワ愛好家の委員長やってる人かもしれない。
「すいません、自分勝手な幼馴染で。」
「すいません、こんなのが兄で。」
真君とハモって2人で顔を見合わせた。
「揃ったね。」
藤永さんも目に涙を浮かべて笑ってる。
「ねねっ、2人酷くなーい?」
兄ちゃんはこの際幼馴染にも妹にも
変人だと思われていることを理解して欲しい。
「あの、本当に兄を雇って貰えるのですか?」
嘘だということにならないか心配だ。
「あははっ、透真君には助かってるよ。
急に辞めた子が居てさ、信頼出来る人と
一緒に働きたいからね。」
藤永さんは一体兄ちゃんのどこに信頼したのだ?
むしろ、疑いしかない。
謎の兄ちゃんの人脈は計り知れないと知った。
帰ってきた理由も本当に訳分かんないし、
電話一本で仕事を決めて来ちゃうミラクルを
起こしちゃう兄ちゃんはきっと全てが謎だ。
どうもあたしの知らない何かが兄ちゃんには
あるのかもしれない。
兄ちゃんはあたしの予想を悉く覆してくる。
そんな兄ちゃんの就職したところがこんなに
良いところだと知った途端安心した。
しばらく、ちゃんと働いてくれることを神に
祈るしかないと思うのだった。

