「え~、ひーちゃんに言えないような職場
なんて行かないよー。」
選んでる場合なのか!?
「じゃあ、どこなの?」
てっきり、ホスト確定だと思っていたが違うのか!!
それは少し残念だ。
まぁ、兄ちゃんにはホスト向いてないだろうね。
お酒弱かったし、接待とか無理だな。
「ひーちゃんもきっと気に入るいいお店。」
ふふんと鼻歌を歌いながら窓の景色を眺める
兄ちゃんの能天気っぷりにはもう何を言っても
しょうがないのだと思った。
「そのお店はいつ決めたんだよ?
確か、昨日帰って来たんだろ。」
そうなの、真君!
この兄ちゃん嘘は吐けないの。
でも、昨日のたった一日で決まるような
そんな上手い話があっていいの?
「真、そこ右に曲がって。」
急に兄ちゃんが真君に運転指示をする。
「えっ?」
「早く~、後ろ詰まっちゃうよ。」
真君に両膝ついて謝りたくなった。
それからしばらく真っ直ぐでという
兄ちゃんは俺も車買うかなと言っている。
そんな、お金ないよね!!
「そこの店長に近い人と知り合いでさ、
人数に丁度空きが出たからいいよって
昨日電話で連絡来てさ。」
そんな上手い話があった!!
「お前軽く尊敬するわ。」
真君、この馬鹿な兄ちゃんになんか尊敬
しなくていいよっ!!
「あ、そう?」
兄ちゃんすごい喜んでる。
「そこ、左行ってね~。」
どこに連れてく気だよ兄ちゃん。
自分勝手な兄ちゃんの傲慢さは
未だ続くのだった。

