盛り上がってきたところで真君の誘いで
ドライブへ行くことに修平君は車酔いする
からいいと断ってお家でお留守番するそうです。
それなら、あたしも空気を読んで修平君と家で
待ってるよと言ったけど、真君に全力で連れて
行かれたのだった。
真君の運転は完全なる安全運転だった。
「それで、仕事どうするんだよ?」
「あ~、それね。」
兄ちゃんは世の中で困ってる就職困難者の
皆さんに土下座して謝るべきだ。
「さすがに仕事しないと大人として駄目だろ?
ここはジャングルじゃねぇんだよ。」
「分かってる~」
分かってないよねっ!!
むしろ、兄ちゃんの頭の中は動物の園だ。
爽やかな草原広がってライオンとトラが
互いに肩を抱きながら踊ってるに違いない。
『やぁ、ライオン君!』
『こんにちわ、トラ君!』
そこに颯爽と現れるチーターさんも一緒に
どんちゃん騒ぎだぜ。
『みんなでパーディナイッ!!』
チーターさんがチャラくなっちゃったよおいっ。
あたしのイメージではチーターさんはとても
イケメンだけど、そんなチャラさ要らなかった。
むしろ、草原で颯爽と走ってるイメージだけで良かった。
「ひーちゃん、カムバックッ!!」
「相変わらず、妄想に拍車がかかってるね~。」
助手席に座ってる兄ちゃんの必死の叫びは
フルシカトで真君の左肩の方へひょこっと顔を
突き出すと真君はクスリと笑って左手で頭を
撫でてくれた。
「真君、本当に久しぶりだッ」
「うんうん、ひーちゃんには中々会えなかったよね。」
一際、大人っぽさに磨きがかかったよ。
何故、家の兄ちゃんとここまで大差があるのだ?
同じ歳には見えないほどの落ち着きを真君は
持ってるというのに兄ちゃんはどうしてここまで
人騒がせな男になってしまったのか理解出来ない。

