ネクタイから手を離されてようやく解放された。
「ひーちゃん、また一際豪腕ヤバくなってない?」
「そう?今週末はダディーに稽古をつけてもらった。」
「ああ、だからか。」
「ダディーには勝てないが、サユがカッコイイんだ。」
「ひーちゃん、そんなに強くなったら困るだろ。」
「えっ!?」
「全く、鈍感は困るねぇ~」
「な、何が困るんだ!!」
「いろいろとね。」
「り、理由を吐け!!」
相沢ティーチャーのネクタイを掴んで
立場が逆転する。
「世界が滅亡するのか!?」
「また、妄想してやがるな。」
「ど、どんな災難が降りかかってくると
言うんだ!!恐ろしいわ。やっぱり今週も
ダディに稽古つけてもらおう。」
「まだ、強くなる気で居るんだ?」
「死にたくはないからな。」
「女の子なんだからそういうのはほどほどにしろよ。」
「だから、お前に心配される筋合いがない。」
睨み合いの合戦が始まるとすぐに相沢ティーチャー
が降参を申し出た。
「昔から、ひーちゃんと睨めっこすると
負けるのは目に見えてんだよな。」
「あたしのお顔が素敵だからな!」
「いや、恐ろしすぎてな。」
「なっ、乙女に向かって言う言葉じゃない!」
「はいはい、俺はそろそろ退散しますよー。」
「帰れ!帰れ!」
「ひーちゃん、もう少し可愛くなってくれよ。」
「十分可愛げあるもん。」
「どうだかなー。テストの点数も可愛げねぇし、
会えばこの口で暴言吐こうとするしな。」
「暴言なんてたまにしか吐かない。」
「いっそ、その口塞いでやろうか?」
顔を青くするあたしにケラケラ笑って
部屋を後にした相沢ティーチャー。
そんなことがあったらあたしの死亡は確定するだろう。

