よっちゃんを放置して冷蔵庫にオレンジジュースと

缶コーヒーを取り出した。

お煎餅も持っていこうかなと思って手にして

振り返ったらよっちゃんが幽霊みたいにぬっと

出てきて驚いた。

「なっ、登場する時は何か喋ってくれたまえ!」

「ヒヨリン、俺弱いと思う?」

「何が?」

よっちゃんがいきなり出てくるから尻餅をついた。

あまり驚かさないで欲しいな。

缶コーヒーが床に転がる。

それを追いかけて不良メンバーズの間を通って、

廊下まで追いかけるとへらり笑う悪魔一号こと

グレチャー相沢が眼鏡を外して胸ポケットに仕舞う。

ジトーっと見据えるとヘラヘラ笑いながら、

「おっかねぇな。」

口の横を掻きながら一歩後ずさった。

「足元に転がってるものを奪還しようと

思ったが、どうするかなと・・・」

「ひーちゃん、相変わらずそのポーカーフェイス

どうにかしなさいよ。」

「お前に心配される筋合いはない!」

「お前って・・可愛げねぇな。」

「なくて結構だ。」

缶コーヒーをひょいっと持ち上げると、

ズサササっと戻ろうと後退した。

「ぐへっ、何をする!」

グインっと伸びてきた手に頭を鷲掴み

されて走っても走っても位置が変わらない。

ムッキー!!脳みそが腐る。

悪魔の手によって汚れてしまうわ。

「は、放せ馬鹿者!」

「教師に向かってその口の聞き方ねぇだろ?」

こ、こんな時に本性出すなよ。

「お、お兄ちゃんに言いつけるぞ!」

パッと放す相沢ティーチャーはやはりお兄ちゃん

に何らかの弱みを握られてるらしいな。

「ひーちゃん、ずるいな。」

「あたしに勝とうだなんて100億光年早いんだ!

それが分かったならとっととお帰りっ。」

えっへんと腰に手を当てて言うと、

相沢ティーチャーにネクタイを掴まれて

窒息させられそうになった。