サユの場合だと大騒ぎするような・・・。
「しゅ、修平君、内出血してるかもっ!!」
あたしがパニック起こさないとなかったことになりそうだ。
大慌てなあたしを見て修平君がふうとため息を吐いた。
「何ともなってないから。」
「修平君、本屋さん行く前に診療所に寄って!!」
「・・・好きにすれば。」
だけど、本当はすごく優しい子だって知ってる。
マミーが風邪をひいた時は気を使ってりんごを
剥いてくれる子だ。
サユが困るとすぐに気がつくセンサーがついてる。
真君に呼ばれると文句も言わずに行く。
ダディが落ち込んで居るときはそっとしてあげてる。
「修平君、もう大好きよ。」
「・・・そういうの困る。」
「て、照れてるのか!?」
「・・・・・・・・・」
ちょっと変わった関係ではあるかもしれないが、
あたしも修平君は自分の弟のように思ってる。
サユと過ごした時間が長いように永瀬家には
本当に頭が上がらないほどお世話になってる。
「修平君、ところで最近何の本を読んだのですか?」
「ブラックペッパーシリーズ。」
「ああ、あたしもこの間読破しました。」
「ありきたりじゃない話の展開が良かった。」
「ですよね!探偵モノは回を重ねるごとに
ありきたりになってしまうのですが、ブラック
ペッパーシリーズは読むたび新鮮味を感じます。」
「醤油先生が殺されたのは意外だった。」
「そ、そうですよね!!あたしもそこは
驚きの展開過ぎて夜中3時だったのに出版社
に講義の電話をしてしまいました。」
「それ、迷惑だよ。」
「は、はい。以後は気をつけて朝一にします。」
「本屋、着いたよ。」
「さぁ、一緒に探しましょう!」
「怪我したんじゃなかったの?」
「・・・もう平気です。」
あっそうって言う修平君はくしゃっと笑って、
本屋さんを進んでいくのだった。
「あの、ブルーベリー男爵殺人事件は取り扱って
いないんでしょうか!?」
「そんなのあるんだ?」
毎回、本屋さんに付き合ってもらってるのでした。
おわり

