修平君がくるりと振り返る。
「それは、日和ちゃんの方が上手い。」
「そうかな?真君も昔はあまりにも不器用で
マミーが心配してた覚えがあるんだよね。」
「兄ちゃん、今は多少出来るようになってる。」
「そりゃ、一人暮らしをしていれば自然と
身につくようになってますよ。」
「日和ちゃんは一人暮らしが長いけど、
その前から出来てた?」
「う~ん、やろうと思えば!」
「何でも出来てた気がする・・・」
「そんなことないよ。」
「そんなことある。」
「で、でも、修平君も上手だよね。
修平君が剥いてくれた梨とか
すごく美味しかったような気がする。」
「皮むいただけ・・・」
「あ、愛情のこもった皮むきです!」
「ただ皮をむいただけだって。」
修平君は無口なようで意外と喋る。
こうやって、修平君とお話する瞬間は
貴重であってあたしの楽しみでもある。
サユと出会った頃はまだ修平君は赤ちゃんで
ハイハイ出来るようにはなってたと思うが、
あたしよりも全然小さかった。
それが、年月を経てばここまで大きくなるわけで
大人びた表情を浮かべながら考え事をしている。
「ムフフ」
「不気味だよ。」
「いや、修平君ってサユによく似てるよね。」
「えっ?」
修平君がどこがって聞いてきた。
「何か、考えてるところとかよく見てると
サユに見えてくる。」
「姉ちゃんだからね。」
「仲良しで何よりですね。」
「あんまり喧嘩したことないから。」
「小さい時のこととか覚えてます?」
よくサユの家に行ってたから修平君と
サユが仲良しで羨ましかった。
あたしも年が近い弟や妹が居れば
こんな感じだったのかなって思うと、
修平君が可愛くてしょうがなかった。