一度、聞いたことがあった。

修平は好きな子とか居ないのかって質問に

相変わらずクールな態度で別にと言っていた。

でも、後から聞いた話がファーストキスは

好きな女の子だったからいいんだって話。

それは修平の初恋の話だってことは

未だに知らないが。

どんな女の子が好きだったのかしつこく聞かれても

修平は口にしなかった。

「なっ、修平。」

「んっ?」

プリントを鞄から取り出す俺をボーッと眺める修平は

男の俺からしてもカッコイイやつだ。

「修平の初恋ってさ」

「それ以上聞いたら口利かない。」

反応は早いんだよな。

「いいのかよ?ボサッとしてる内に

あんなに綺麗な人すぐに持ってかれちまうぜ?」

「お前にそんなこと言われたくない。」

相変わらず、冷てぇ男だな!

「それに、綺麗とか見た目じゃない。」

「えっ?」

修平の頬が赤くなった。

こ、コイツ照れてやがる。

なんて可愛いヤツなんだ。

俺、見たことねぇぞ。

「でも、すげー良い人だよな。」

「・・・惚れた?」

プリントを渡すと修平がムスっとしていた。

「そんなに好きなのか?」

「まさか。・・・早く、帰れよ。」

ボソり呟く修平の瞳が悲しげに揺れた。

ああ、コイツ言う気はないのか。

「ちょっ、日和!あんた、何してんのよ。」

「えっ、折角の修平君のお友達だよ!!

おもてなししようかと思ったのに、

さーちゃん酷いっ。」

「修平に怒られるわよ!戻ってきなさい。」

「はーい。」

バタバタと出てきたのはさっきのフランス人形

みたいな修平の想いビトともう1人さらに綺麗な

女の人が出てきて腰が抜けそうになった。

足がスラッとしていて、栗毛の髪が特徴の

背が俺ぐらいのスタイルが良い女の人だ。

「あ、修平がいつもお世話になってます。

修平の姉で、家あがって行っていいからね。」

修平がさらに大人っぽい理由が分かった。

こんな人たちが姉に姉の友達って、

羨ましすぎるだろ。