部活はやってるんですかという彼女の質問から

始まり、彼はたくさん喋っていた。

「そういや、あのお姉さん急いでませんでしたか?」

「あっ、見てましたか?今日は、友達の弟くんと

一緒に本屋さんに行く約束をしていて・・」

そっか、だからあんなに急いでたのか。

「それだったら、俺のことなんかより

行ってあげたほうがいい。きっと、待ってると

思いますよ。」

「う~ん、でも、その友人のお家もう少しで

通るので声を掛けてから一緒にまた探しましょう。

困ってるあなたをほっておけませんから。」

任せなさいと言わんばかりの彼女の勢いに

騙されたというよりか、人のいい人で心底

顔だけじゃないなと思った。

綺麗な人って性格悪いイメージあったけど、

この人は違うな。

赤の他人なのに、すげー親切でこの人

居なかったら俺・・・どうなってたことか。

「あ、ここです。少々お待ちくださいね。」

彼女が自転車を止めて家に入っていたのを

見て、少し緊張した。

友達の弟と本屋さんに行くとか言ってたよな。

その弟が羨ましいな。

そんなことを思いながらふと顔を上げると、

永瀬の看板が目の前にあった。

「えっ!?」

彼女が入っていった家はその看板の家。

「修平君、申し訳ありませぬ。」

「別にいいけど、その中学生どうしたの?」

「あ、今、お外で待機中ですよ。」

足音が近づいてきて、玄関のドアが開くと、

よく見知った顔とご対面した。

「よ、よっ!」

「お前だったのか・・・」

「えっ!?まさかの修平君のお友達?

こんな偶然ってあるのかね!!」

「日和ちゃん、少しあっち行ってて。」

「アイアイサー!」

彼女と修平の関係に疑問を抱くやり取りだった。

でも、少なくとも分かった気がする。

修平が大人っぽい理由が何となく。