トボトボ歩くと公園が見えてきた。

一体、どこに永瀬とかいう看板があんだよ。

修平、今日は急いで帰っていったよな。

何か、用事でもあるのか?

水曜日は職員会議で部活は休みになる。

今日はその水曜日のラッキーDayだったわけだが、

担任にプリント渡されたんだよな。

授業参加のプリント配布し忘れたから、

修平のところに届けるように言われて、

他の奴も来るはずだったけどみんな漫画

買いに帰って薄情なヤツらだ。

しかし、見当たらねぇな。

ここら辺、すげー平和な感じだ。

西地区っていいよな。

俺もこういうとこ住みたかったな。

南地区は悪いところではない。

だけど、ここよりも断然治安の悪い

ところで俺が中学に入ることも両親が

西地区の学校を勧めていたからだ。

「あ、あの、さっきから迷ってますかね?」

ふと顔を上げるとフランス人形みたいな

女子高生が不思議そうな顔をして聞いてきた。

「お、俺は・・・」

「ここら辺の中学生さんですか?」

さっき、自転車で見るよりも近い距離だ。

肌の透き通るような白い肌に、小顔で

生まれて初めてこんなに綺麗な人見た。

背は俺よりも小さいのに、女子高生

だと分かる凛とした大人っぽさを持っていた。

「あ、友達に・・届け物を。」

「そうなんですか。親切なんですね。」

「そうでもないです。」

「えっと、ここら辺にそのお友達は

住んでいらっしゃるのかしら?」

上品な喋り方もまた中学生な彼の身近には

居なくて、心底こんな人が居るのかと驚いていた。

「はいっ!!」

元気よく返事をすると彼女がクスリと笑った。

「あたしもこの辺に住んでるから出来たら、

そのお友達のお家探しお手伝い出来るやもしれませんね。」

自転車をカラカラと鳴らせて歩く彼女は、

優しそうな人だった。