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said:馨



「なぁ、結局何言おうとしたんだ?」

伊織に詰め寄るナルを横目に一息ついた。

日和ちゃんはあの後慌てて帰っていった。

着替えて帰ればいいものを家近から大丈夫よとか

言って颯爽と帰っていった。

一応、美男が送ることになったものの最後の最後まで

自転車で帰るからいいよと聞かなかった。

説得するのにだいぶ時間がかかったけど、

最後は日和ちゃんが折れて美男ならと言って、

2人で帰ったからやっと一安心だ。

「あー、何言おうとしたっけな~」

伊織の適当な答えにナルが拗ねる。

「たった今のことだろ!?覚えてろよ!」

「いやいや、ナルちゃん最近反抗期だよね~」

そっぽを向いたナルに伊織がため息を吐き出して、

左手を空中に彷徨わせてテーブルに乗っている

日和ちゃんが置いたキャンディーに手を伸ばす。

煙草やめろってさっき言われたたもんな。

せめて、学校の外にしないさいって言って、

煙草捻り潰した日和ちゃんには頭が上がらない。

俺が言ってもやめないもんだから日和ちゃんには

助かってる。

伊織は吸い過ぎなんだよな。日和ちゃんが前にも

言ってたけど、灰が真っ黒なんじゃないかっていうのは

俺も心配なところだ。

まだ未成年なのに肺が真っ黒だったら責任を感じるな。

もう少し、厳しくするべきかな?

「っで、結局何だよ!?」

ユウヤまで乗り出して伊織はキャンディーの包を

ゴミ箱に投げる。

「だから、鈍感って話だよ~」

伊織の言葉にナルがきょとんとする。

ユウヤも理解してないみたいだ。

「アイツ、やっぱり男なんじゃねぇの。

そこらの男より強そうに見えんだろ。」

慶詩の乱入でナルがムキになる。

「ヒヨリンは女の子だ!」

「どこがいいんだ?ナルちゃん悪い悪夢から目を覚めろ。」

慶詩、さすがに酷い言いようだな。