お味噌汁を口に含んでごっくんする兄ちゃん
をジッと見守る。
「それで何の仕事なのさ?」
ニュースキャスターの女の人が喋ってる
だけで静寂に包まれた空間。
声を一向に吐きだそうとしない兄ちゃん。
「兄ちゃん?」
「あのさ、知り合いが居てな。
兄ちゃんこう見えて友達いっぱいなんだよね。
動物だけじゃなくて兄ちゃんはいろんなヤツ
と繋がりを持っていてだな。」
うん、兄ちゃんが人懐っこいのはよく
知っているよ。
だから、何の仕事かさっさと言え。
まさか、ホストとか言い出さないよな?
お主には一番似合いません。
却下です!!
「そういや、真に会いに行こうと思うんだよね。」
あ、真君あたしも会いたいって違うっ!!
そうじゃなくてだよ。
「兄ちゃっ」
「真も俺にきっと会いたがってるに違いない。」
そのポジティブシンキングが羨ましい限りだ。
真君、きっと会いたいとは思ってないと思う。
「に」
「ひーちゃんも一緒に行くだろ?」
人の話を聞けっ!!
これでも心配してやってんだぞ。
本当に変なところで仕事してないよね!?
「う、うん・・・・・」
ヨシヨシって言いながら兄ちゃんは卵焼きを
口に放り込む。
兄ちゃんは根本的に人の話を聞こうとしない。
どうも自分勝手さに磨きがかったようだ。
「そんじゃあ、今日は兄ちゃんに付き合って
もらおうかな。」
まぁ、そんな兄ちゃんでもまんざらじゃないから
しょうがないと思うしかないみたいだ。
その内、教えてくれるだろうしそれまで機会
を待っていれば良いでしょう。

