ちぃ君がコクりと首を頷かせる。
「それじゃあ、痛いのが早く飛んでいくように
おまじないですよ。」
ポケットからオレンジ色の包装紙に包まれた
それをちぃ君の手の平に乗せた。
「お前、好きだな。」
「ちぃ君だって好きでしょ?」
飴玉を手の平に転がせるちぃ君は口元を緩めて
笑っていた。
「それで、川を眺めてどうするんですか?」
土手からは川の流れがよく見える。
のんびり屋のちぃ君は何気ない散歩のつもり
かもしれないとこの時はそう思っていた。
「たい焼き食いてぇな。」
話逸らしたな?
まぁ、気分で来たのかもしれない。
「来る前に買ってくれば良かったじゃないか。」
「お前がたい焼きって言ったからだろうが。」
「あ、あたしのせいですか!?」
ひ、酷いわ。
それは例え話だったのに。
「じゃあ、戻りますか?」
そう聞いた時にはすでに立ってるちぃ君。
すごく自己中心的だわ。
気ままと言うべきなのか。
羨ましいぐらい肝が据わってると言うべきなのか。
立ち上がってスカートをペッペッと払ってから
鞄を肩にかけ直して前を見るとオレンジ色に
染まる夕日をバックに手を差し出すちぃ君が
居て、何てことない一コマなんだろうけど
それが少し嬉しく思えた。
「あまり強く引っ張らないで下さいね。」
「加減が分かんねぇんだよ。」
手を遠慮がちに前に出すとそれを引っ掴まえて
ぶっきらぼうにそれでも壊れ物でも扱ってる
みたいに手を引っ張ってくれた。
少しは近づけているのだろうか?
昨日より今日って今日より明日ってそれでも
少しずつ進んでいけてるんだと信じてもいいのかな?

