あの後、ちぃ君を張っ倒したところで伊織君に

ストップと言われて止められた。

不良メンバーズが冷や汗を浮かべていたことに

気付くこともなくて、そろそろ戻らなきゃいけなくて

不良メンバーズにきちんと迷惑かけたことを謝罪して、

バタバタと屋上を駆け下りた。

廊下を歩いているとお昼頃あたしを追いかけていた

女の子たちがやっと見つけたと言って駆け寄ってきた。

それから、2位の賞品を貰った。

何もしてないのにもらってもいいのかなと思ってたら、

賞品は図書カード1万円分でテンションが上がった。

これで、欲しかった本が買えそうだ!

空き教室に戻ると制服を返されて、この衣装は

クリーニングに出してからあげるねって言われた。

「そんな、高価なものいいよ。」

「ウチのお母さんの実家が生地屋だから気にしないで。」

「いやいや、気にしちゃうよ。」

「お願い、貰って!これ、作ってる時すごく楽しかったから。」

リーダー格みたいな子は良い子だった。

「立花さんも永瀬さんもモデルの素材が良かったから

作り甲斐があって本当に楽しかったんだ。」

「そんな滅相もございません!」

数人の女の子も笑みを浮かべていた。

「こちらこそ、こんな素敵な体験をさせて

頂いて光栄です。」

何だかんだ言っても楽しかったことに変わりはない。

ドキドキハラハラしたけど、高校に入って初めての

文化祭がこんなに色鮮やかな思い出が出来た。

サユが戻ってきて、ミス星鈴に選ばれたことを

ブツブツ文句言っていたけど、マコ君に綺麗だって

言われてすごく嬉しかったらしい。

ステージに立つ前も緊張してるサユの手をずっと

握ってくれていたらしい。

マコ君ったら、取り乱してたくせにやる時には

やれる男なのよね。

でも、サユがミス星鈴に選ばれるのは納得がいく。

こんなに美人さん中々居ないと思う。

何故、あたしが大健闘だったのか謎でしょうがない。

きっと、何か間違いがあったのかもしれない。