ナル君と馨君も不良メンバーズに行ってここら辺の

搜索に乗り出してくれた。

慶詩とユウヤもももっちを借り出して下探しに行くかって

話になってる時だった。

伊織君がまぁまぁと言って止めた。

伊織君と京君に挟まれて呑気にホットケーキを食べてる

ちぃ君がきょとんとした瞳のままあたしを見上げる。

「これ、お前のか?」

そんなちぃ君が右手に持っていたのは正しくティアドロップ

の付いたティアラだった。

「何で、ちぃ君が持ってるの!?まさか、ちぃ君怪盗

ルペンだったのか!?藤子ちゃんにプレゼントする気

だったんだな!!」

なんて大騒がせしてくれちゃったんだ。

「お前がな。」

ムッ!!無くなってビビったんだぞ。

「ちぃ君、藤子ちゃんとお友達だったの?」

「何言ってんだお前。」

ちぃ君の美貌だったら逆に藤子ちゃんがメロメロよ!

ドレスの裾をかき集めてちぃ君の傍に駆け寄る。

メープルシロップの甘い匂いが漂う。

座ってるちぃ君に手を出す。

「さぁ、戻っておいであたしのティアラちゃん!」

返してのポーズを取ったつもりだった。

ちぃ君の漆黒の瞳がホットケーキからあたしへと移った。

今日もムカつくほど綺麗な顔してるちぃ君が

無表情な顔を一瞬に妖しい笑みを浮かべて、

出した手を強引に引っ張った。

そのせいで、態勢がグラリと揺れてポスっと

ちぃ君の方に倒れる。

柑橘系の香水の香りが漂う。

「なっ、何をする!」

いきなり何をするんだと思ったのに当の本人は

悪びれもせずに、ティアラをあたしの頭に乗せる

と満足したのか口角上げて笑った。

「似合ってる。」

そして、また色気を伺わせる笑みと一緒に

ホットケーキより―――――甘く耳元に囁かれた。

ちぃ君はたまに怖いほど色気放ってる時が

あるから要注意であると思い知った。