それから、またお姫様抱っこ再びがやってきた。
放心状態のあたしを抱えたまま見事な階段登り
をする伊織君にはもう完敗だ。
もう少し、精神を鍛え直す必要がありそうだ。
滝修行にやっぱり参加するべきよね。
1週間の断食はやむ得ないわね。
「ひよこ姫、とりあえず屋上着くぞ~」
ふといつもは気にならないところを目にした。
伊織君ってピアス付けてたのかな?
ボコって穴が開いてるけど何もない。
慶詩はやりすぎだと思うけど、
伊織君がピアス付けてるところってそういえば
見たことなかったな。
伊織君の髪に手を伸ばす。
ワックスで多少遊ばせてる伊織君の髪を触る
日が来るとはあたしながら失礼しますだ。
「おい、手邪魔だ。それから、そういうこと
すんじゃねぇ~の。」
「えっ、すまない!」
「エロスイッチ入っちまうじゃねぇ~の。」
「入らなくていいよ!むしろ、Offにしろ!」
「何だ?屋上行くの止めてホテル直行しちまうか?」
「馬鹿も休み休み言え!」
何て、破廉恥なこと考えてんだ!
ガチャリと屋上の扉が開いた音がした。
屋上誰か居るのかなって思いながら、
振り返ろうとした。
「伊織、女連れてくんなよ!」
ナル君、お怒りモードですか!?
それはマイッチングじゃないか。
どうすれば、機嫌よくなるかしら?
「おうおう、お前も好きだな~」
ちょっと、今の声!!
相沢ティーチャーじゃなかろうな?
「何だ、ウチのひーちゃん行方不明説で
困ってたのになー。」
にっ、兄ちゃんが居る!?
参ったな、これは絶対にバレてはマズイことになる。
どうにか誤魔化し切らないと!!
ガバッと伊織君に抱きついて顔を隠した。

