Hurly-Burly3 【完】


ポカーンとあたしを見る伊織君に首を傾げた。

「それはこっちのセリフかもしれねぇ~な。」

伊織君はいきなりそんなことを言い出した。

ビックリして伊織君の顔を見つめる。

「丁度、つまんねぇ~なと思ってたところ

ひよこのお嬢到来で久しぶりに走っちまったしな。」

「久しぶりに走った割りには結構体力あったじゃないか。」

横っ腹を押さえる伊織君は疲れてんだぞと言う。

「おめぇ抱えて走るなんてすげぇ思い出残っちまったな~」

「良い思い出だろ!美女を抱えられたんだぞ。」

「どこに居んだよ、その美女とやら。」

「こ、ここだ!」

伊織君が営業スマイルなんかじゃないような、

みんなと一緒の時にたまに笑う笑みを浮かべる。

そうやって笑ったほうがずっといいよ。

ちょっと、キュンとしてしまったではないか。

フェロモンよりこっちのがあたしはいい。

「もう一方は美男たちに捜索させっかな~」

「よっちゃんたちに?」

ものすごい申し訳ないのだが。

「とりあえず、隠れてた方がいいんじゃねぇ~の?」

「う、うむ。そうだな。」

というか、もうお腹がMAXで減ってる。

何か食べ物寄こせとお腹先輩が仰ってるぞ。

「お前が変なこと言う前に行くかな~」

「なっ!!」

伊織君が手を出してきたからもう一度手を置く。

安心しきって伊織君に手を委ねた。

それが間違いだったと気付くのはすぐのこと。

よしっ、行くぞと気合を入れていたあたしの手を―――――

伊織君が顔に近づける。

そして、色気たっぷりの笑みを浮かべて手の甲に

―――――キスを落とした。

顎が外れるとはこのことだ。

腰砕けもいいところだ。

何て度肝を抜くようなことをやってのけてくれたんだ。

まるで、お姫様に忠誠を誓う騎士のごとく。

色っぽい視線にドギマギが止まらない。

「ひよこ姫自分で言ってたろ。

俺に何かあったら駆付けてくれんだろ?

だったら、その言葉そのまま返してやろうじゃねぇ~の。」

耳元で甘く囁かれて更に腰砕けになった。

フェロモン魔導師め!

これは、不意打ちの攻撃だぞ。

もうここまで来ると伊織君は天性の色気の持ち主だなと思った。