日頃の運動不足を感じさせない伊織君の
大健闘はまだまだ続く。
「伊織君、もしや日頃筋トレでもしてるのか?」
ジロっと開いた胸元をチラ見する。
だ、駄目だ、フェロモンという名のポイズンが・・・
毒素を撒き散らしてる!!
恐るべきフェロモン魔導師IORI
「おめー、さっきから口に出てんぞ。」
「ま、マジか!」
それはやっちまったじゃねぇか。
お口チャックしないと駄目じゃない。
「後、どこ行ったか覚えてるか?」
「えっと、う~ん覚えてない。」
「うわ~、この子本当に脳みそヤバイんじゃねぇ~の。」
「し、失礼だぞ!でも忘れたので何とも言えん。」
人に見つかるたび、伊織君のオーラに女の子
たちがキャーキャーと騒ぎ出す。
伊織君に連絡先聞かなくていいのかと聞いたら、
今はそれどころじゃねぇ~じゃねぇ~のと言って、
そのまま笑顔を振りまいてスタコラ移動した。
地面に転がってる白い靴をようやく1つ見つけた。
伊織君が汚れをパッパっと手で払いのける。
そんな、伊織君のお手が汚れまっせ旦那と言ったら、
「何だよ~、俺と結婚してぇってか?」
「何を言うか!!」
色気たっぷりの流し目に心臓が縮んだ。
そんなこと口が裂けても言わないわ!
「そこ座れるだろ?」
伊織君にベンチに下ろされてホッと一息した。
パンプスをあたしの足に履かせる伊織君は
何をやっても女子にモテるだけある男だ。
何でもかんでもやってもらってばっかりだ。
伊織君を誤解しすぎていたかもしれない。
「伊織君、こんなことに付き合わせてすまない。」
「何だよ、いきなり困るじゃねぇ~か。」
伊織君のモカブラウンが風に揺れる。
「だから、ありがとう。」
ちょっと、照れくさいけどお礼だけは言わせてね。
伊織君が居てくれて心強かった。
おかげで、文化祭にもう一つ思い出出来たって感じだ。

