残された時間がいくらあってもあたしの意志は
固く定まっている。
『ひーちゃん、自分の好きなものを見つけて
選ぶ権利があるってことを忘れないでね。
お兄ちゃんも透真も父さんも母さんもみんな
ひーちゃんには幸せになって欲しいって思ってる。』
それが正しいかなんて分からないよ。
そう言われると幸せになんてなれないあたしの将来。
何よりもあたしを幸せにするのは家族の幸せだ。
それを守るためにあたしは戦う。
でも、もしかしたらそれは望まれないことなの
かもしれないと思うと少しだけ心が揺れる。
多分、これから選ぶあたしの将来はハッピーエンド
とは全く違う結末が待っているだろう。
「おっ兄ちゃん、あたしは自分の幸せよりも
みんなが幸せになる方を望むんだ。」
母さんが自由奔放に仕事をすること、
父さんが気ままな放浪の旅をして笑ってれば
なおさらいいと思う。
それに、お兄ちゃんだって何をしたっていい。
どこかできっと働いているのは知ってる。
兄ちゃんだって帰って来たけど兄ちゃんが
一番したいことをして生きて欲しい。
でも、誰1人として辛いことを背負わせない。
そのためならあたしは魂さえ売れる覚悟だ。
自分が全部を受け取る覚悟を決めてた。
あの時に誓ったはずだからだ。
みんなを幸せにする誓いはあたしの胸に
刻み込まれている。
だから、自分の幸せは考えない。
家族が幸せになれないなら最初から
あたしの幸せなどない。
『ひーちゃん焦って決めることじゃないよ。
未来を決めるのはいつだってひーちゃん自身だ。
ひーちゃんはいつだって家族を大事に思ってるけど、
家は誰もがひーちゃんの幸せを願ってるんだよ。
だから、ひーちゃんには自分のしたいように生きて欲しい。』
お兄ちゃんの言葉が痛いほど胸を突き刺す。
迷わなかったわけじゃないよ。

